2009-10-15

10/15:寒さとともに

クリーブランドは最近めっきり寒くなりあさっては雪の予報だ。去年の10月21日にアメリカに来たからちょうど1年になろうとしている。黄色い街路樹や毎日の曇天・雨模様は、1年前のなにやら不安いっぱいだった気持ちを想起させて、少し暗い気分になる。あのときはStep3の試験も控えてたし。だけど、いいこともたくさんある。手術室でも最近はボスの指示が、「最初に2時間やるからやれるところまで1人でやっておいて」的に任されるようになり、かなり楽しくなってきた。でもその分毎回試験を受けているようで緊張するし気持ちが引き締まる。昨日は4cmの聴神経鞘腫で、かなり任せてもらえた。興味深い症例だったので、いつもは来ないチーフレジデントも手術に入ってきた。通常、チーフレジデントが手術に参加してきたら術者を譲らなければならないが、今回は執刀できた。術中小脳が腫れてきて少しひやっとしたが、術翌日の今日も患者さんの状態は良好。術後MRIも問題なし。よかったよかった。アメリカの外科医は本当に手術・外来に集中できる。日本だと患者の検査搬送に付き添ったり、夜間の薬は自分で遠い薬剤部まで取りに行ったり、転院先を何十件も電話して探したり、点滴を医者が作ったり、診断書などの書類の山と格闘したり・・・と雑用がホントに多くて、本業に割く時間が短くなってしまう。日本だったら、「あ、ごめん、今日のオペ、顔面神経のモニターするんだった。」とか「あ、いけね、ナビゲーションの画像入れ忘れた」なんて当日の朝言おうもんなら、オペ室で蜂の巣になるところだが、こっちだと「あ、そう。はいよ」みたいにさっと、medical engineerがものの5分でセットアップしてしまう。もちろんアメリカ式の良くないところもあるが、それらは患者さんにとって良くないことで、医者にとってよくないことはほとんどない。

そういえば今週から新しくオペ室に日本人の麻酔科医がいらっしゃって、初めてオペ室で日本語がしゃべれた。いつもの英語の濃い感じとは違って、「いや〜、じゃぁまた。どもども」みたいな脱力系会話ができて心が安まったよ、ホントに。

0 件のコメント: